日用品大手、ユニ・チャームが快進撃を続けている。アジア各国で紙おむつのトップシェアを獲得して海外売上高比率が50%を超えた。一方、国内では大人用の紙おむつで稼ぐ。国内と海外で、抜きんでることができた理由は、実は共通している。(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)

 インドネシアの首都、ジャカルタ近郊にある日用品小売店の店頭は、ベビー用の紙おむつで埋め尽くされていた。そのおむつは、すべてユニ・チャームのもの。天井から同社商品が大量につり下げられ、「シェアナンバーワン」をうたうポスターがそこかしこに張られている。

インドネシアのジャカルタ郊外の小売店において、店舗のディスプレーコンテストを実施し、店頭をユニ・チャームのベビー用紙おむつとポスターで埋め尽くした

 ユニ・チャームは2013年3月に、「ディスプレーコンテスト」という、小売店をコンテスト会場として陳列を競うキャンペーンを開始した。ユニ・チャーム一色の陳列は、コンテスト参加者たちの作品だったのである。

 現地で「ワラン」と呼ばれるインドネシアの小売店は、日用雑貨から食料品まで販売している。たいていの店舗は汚く、商品は適当に山積みされ、どこに何があるのかわからない。家族経営が主体で人手が足りず、陳列にまで手が回らないのだ。

 ユニ・チャームはそうした小売店を変革するために、ディスプレーコンテストという企画の下で支援に乗り出した。

 コンテストのためと称し卸業者と組んで店舗に入り込み、溢れ返った商品を整理して、種類ごとに並べた。壁のひびはポスターを張ったり、商品を並べて隠した。交流する中で小売店個々の悩みを把握して解決に協力した。

 キャンペーンは大成功し、他社製品を排除して陳列シェア100%を達成する店も多数生まれた。

 同国のメイン地域である西ジャワ地区におけるベビー用紙おむつのシェアは、12年4月の75%から1年で85%まで上昇した。高原豪久社長自らが「化け物じみている」と表現するほどの高いシェアを獲得している。インドネシア全体でのシェアは65%まで拡大した。