赤ちゃん用紙おむつ市場が熱い。花王が山形県に国内3番目の工場を新設すれば、ユニ・チャームは新商品投入で対抗。少子化による成熟市場においても、生き残りを懸けた戦いが激化している。

「花王のメリーズが店頭から消えた」。今年の夏、ドラッグストアやスーパーの店頭で、おむつのメリーズが手に入りにくくなるという事態が発生した。

 1人当たり販売個数を制限する店舗や、品切れとなる店舗まで発生したほどだ。その理由は、国内で安定した人気を誇っているだけでなく、中国市場で日本製のメリーズが飛ぶように売れたからだ。

 花王は今年、中国での紙おむつ生産を開始しており、現地における認知度がアップ。中国の富裕層の中には、同じメリーズなら日本製のメリーズを購入したいというニーズもあり、日本からの輸出品が引っ張りだこになった。

 このほか「中国人観光客らが来日した際にお土産としてメリーズを買って帰っている」(日用品業界関係者)ことが国内の品薄状態に拍車をかけたとみられる。

 これを受けて花王は、山形県酒田市の酒田工場内に50億円をかけて紙おむつなどのサニタリー商品製造ラインを新設、来春の稼働を目指す。新工場の建設は実に12年ぶりだ。

 メリーズが消費者の支持を受けているのは、一貫して通気性のよさをうたってきたところが大きい。

 日本では2005年に現行商品の原形である「メリーズさらさらエアスルー」(テープ止めタイプ)を投入。08年には凹凸シートで通気性をアップさせ、11年には吸収体にスリット加工を施すことで股下部分のゴワつきや肌への負担を軽減させた。

 通気性、フィット性についての改良を重ねてきたことが市場で高く評価され、単独ブランドとしては国内トップシェアの約25%を占めており、じわじわとシェアを上げている。