競馬場を走る競走馬と騎手たち写真はイメージです Photo:PIXTA

「当たりやすい馬券」なら、何度も買えば着実にお金を増やせそう――。そんな直感を裏切るのが「複勝転がし」だ。勝ったら全額を次の複勝に賭ける。1回ごとの勝率は高そうなのに、なぜか繰り返すほど不利になる。数学で考えると見えてくる、「当たりやすい賭け」の意外な落とし穴とは。※本稿は、社会学者の谷岡一郎『ギャンブルのからくり』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

「複勝転がし」
とはなにか

 複勝の予想はわりと当てやすい。本命の馬が1着になるとは限らなくても、3着以内であればかなり高い確率で入着できそうだ、というケースは多いからであろう。

 ただし、その場合の配当は、当たってもあまり高くないようだ。せいぜい1.5倍か2倍になれば良いほうで、場合によっては1.2倍以下になることもある。

 競馬などで、複勝を専門にする人がいる。なかでも、当初は10万円くらいの元手を「カタそうな複勝」に全額賭け、当たったら同じようにカタい複勝に儲けも含めて全額賭ける……というように、級数的に元手を増やそうとするやり方がある。これを俗に「複勝転がし」とよんでいる。

 平均して1.5倍の複勝転がしで、6回続けて当てると10倍程度になる。つまり、10万円が100万円に化けるのである。

 このような複勝転がしは、1つ1つの賭けがわりと成功しそうな気がするため、チャレンジする人も多いのだが、ここに“落とし穴”がある。どんな落とし穴かを説明するために、まず例題をやってみてほしい。

例題II-5
 丁半ばくち(2個のダイスの和が奇数か偶数かを予想するゲーム)がある。ルールは簡単で、当たれば賭けた額と同額が支払われ、負ければ賭け金は没収される。

 これでは胴元が儲からないので、勝った場合だけ、余分に儲けた額の10%を、テラ銭として胴元に支払わなくてはならない。つまり、もし1000円賭けて勝っても、1000円丸々もらえるのではなく、1000円の10%を差し引いた900円が支払われることになる。

〈問a〉
この丁半ばくちの期待値は何%か。

〈問b〉
最初に1000円でスタートして、3回続けて勝つまで賭け金を増やし続けるつもりなら、このゲーム3回分トータルの期待値は何%か。