理想と現実の相克に悩む
人間の姿を音楽で綴る

◆「ミッション」(1986年)

 名優ロバート・デ・ニーロは、1986年にパルム・ドールに輝いた英国映画「ミッション」にも出演しています。そして同作の楽曲は、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネです。

ミッション サウンドトラック盤

 物語は18世紀の南米が舞台。キリスト教の伝道という建前と、植民地化と経済的収奪という本音が交錯します。宣教師の良心と、国家戦略の葛藤を描きます。サウンドトラック盤(写真左)は、本音と建前、理想と現実の相克に悩む人間の姿を音楽で綴ります。“欺瞞と偽善があっても理想と希望を持ち続けなさい”と宗教音楽や世俗音楽が語っています。

ヨーヨーマ

 2004年ヨーヨー・マが発表した「プレイズ・モリコーネ」(写真右)の冒頭には、映画「ミッション」から“ガブリエルのオーボエ“と”滝”が収録されています。慈愛に満ちた深い音色がモリコーネ旋律の核心を浮かび上がらせる名演です。

新世代の監督が放った
新感覚のエンタテインメント

◆「パルプ・フィクション」(1994年)

パルプ・フィクション サウンドトラック盤

 1990年代のカンヌも新しい世代を掘り起こします。その代表格は、クエンティン・タランティーノ監督です。94年にパルム・ドールを獲得した代表作「パルプ・フィクション」は、その表題どおりの新感覚エンタテインメントです。サタデイ・ナイト・フィーバーで一世を風靡したトラボルタが、20年の時を経てギャングの親玉として復活。映画と一体となった音楽は、R&Bにポップにロックンロール。サウンドトラック盤(写真)は、印象的な台詞も収録しており、チャック・ベリーやダスティ・スプリングフィールドらの歌が光ります。