「ドライバーの多くは、安くなる可能性が高い」と、同社商品企画部の梅田傑課長は話す。さらに、事故時にはカーナビやスマホの画面のボタンを押すだけで専用事故受付デスクに直接通報できる。また、運転時間帯や走行距離や時間、燃費などの運行情報に基づき、毎月安全運転のためのアドバイスがスマホを通じて提供される。これらもテレマティクスの技術を使った付加価値サービスだ。

 ただし、T-Connect専用のテレマ保険であるため、普及は極めて限定的になりそうだ。トヨタ系列のディーラーで新車を購入し、T-Connect対応のカーナビを搭載するタイミングが主な販売機会になるため、その他の保険代理店が既存の顧客に勧める場面も少なそうだ。

運転技術の善し悪しが保険料に反映する
日本初のPHYD型も登場

 一方で、走行距離が少なければ保険料を安くする仕組みは、既にダイレクト(通信販売)保険数社が展開している。契約時に走行距離を自己申告するルールであり、運行情報を通信で吸い上げるテレマ保険とは異なるが、仕組みとしてはPAYD型だ。むしろ、運転が安全か危険かといった運転特性が保険料に反映されるPHYD型の普及が、自動車保険進化の課題だろう。

 そうした中、今年2月にダイレクト保険のソニー損害保険が、先陣を切って日本初のPHYD型の自動車保険「やさしい運転キャッシュバック型」をスタートさせた。加入者は簡単に着脱可能な無料の小型計測器を運転席付近に装着し、計測器に内蔵された加速度センサーが加速や減速などの運転状況を実測。180日間、継続的にデータを取り続け、終了後に表示される申告コードを、ソニー損保のWebサイトに入力して通知する仕組みだ。

 ソニー損保では申告コードに基づき点数を割り出す。90点以上は保険料の20%、80点台は15%、70点台は10%、60点台は5%をキャッシュバックする。最初の基準となる保険料は従来品よりやや高めだ。

 例えば被保険者年齢が25歳の保険料モデルで、従来9万7620円だった加入者は、やさしい運転キャッシュバック型だと10万3600円になる。ただし、90点以上であれば2万720円戻るので8万2880円となり、従来品に比べて1万4740円得をする。80点台では9560円、70点台でも4380円の得だ。60点台以下だと従来品より高くなるが、その分手厚い特約サービスが付くので、損にはならないという。

 実際に筆者もマイカーに取り付けて、30日間無料トライアルを体験してみた。小型計測器はシールでダッシュボードに簡単に取り付けられた。優れた点は画面にその時点での点数が表示されることだ。当初は70点台でやや気落ちしたが、アクセルをゆっくり踏み、余裕を持って減速するなど運転を改善した結果、どんどん点数が上がり、期間終了時には84点になった。

 保険料が減額されることに加え、「計測されている」「点数を上げたい」と意識するため、安全運転を心がけるようになることもメリットだ。筆者も装着して1週間を過ぎる頃には特に注意しなくても、自然と“やさしく”運転する癖が付いた。