官民ファンドの産業革新機構が主導し、ソニー、東芝、日立製作所の中小型液晶部門が統合して誕生したジャパンディスプレイ。昨年上場を果たした「日の丸液晶連合」は、浮き沈みの激しい業界でどう勝ち抜いていくのか。有賀修二次期社長に聞いた。
──2014年度下期は過去最高益を計上したものの、上期の工場の減損などで通年では最終赤字となりました。上場してからの1年余りをどう総括していますか。
まさにジェットコースターのような1年でしたね。スマートフォン向けの液晶パネルが売り上げの約9割を占める中で、(納入先の)セットメーカー側で日常的に起こる開発や生産の遅れなどの対応に苦慮し、オペレーション上のミスマッチに悩まされた時期もありました。在庫リスクの管理も含めて事業の難しさを痛感し、収益の安定化に向けて試行錯誤を繰り返した年でもありました。
──収益の変動が極めて激しいパネル業界で、具体的にリスク管理の手法はどう見直したのですか。
まず、工場の稼働率を優先させるような事業の進め方は一切やめました。稼働を優先するとどうしても生産計画の変更に柔軟に対応できず、在庫リスクが増大します。一時的な稼働率の低下に必要以上に気を取られず、これは売れると確信できる製品向けにだけ作ればいいと、今はシンプルに考えることにしています。
──昨年後半以降、同業のシャープが液晶事業で苦戦を強いられていますが、何が勝敗を分けたとみていますか。