横井さんが不満を募らせるのが、何もしない人たちから仕事のしわ寄せがくることだ。

 交通費の清算に始まり、様々な書類の手続きなどをするが、それぞれの解説委員が出社していないため、意思疎通を図るのが遅れる。すると、解説委員たちが「早くしてくれ」とせがむ。少々遅れただけでも眉間にしわを寄せ、露骨に不機嫌そうな表情を見せる。解説委員らの子どもじみた、エゴむき出しの姿勢はいつも変わらないという。

「相当な倍率の試験をくぐり抜け、20代前半で記者として今の会社に入った。取材先で“記者さん”とちやほやされ続けてきたから、プライドが極端に高い。給料も目茶目茶に高い。一度も営業をしたことがなく、人に頭を下げることを知らない。自分がものすごく、文化的な仕事をしている、とインテりぶっている」

会社の給料ばかりか講演料まで懐に
「勘違い社員」が生まれるからくり

 多くの記者は、30代後半~40代前半で管理職になり、取材の現場から離れる。十数年前に比べると、管理職になった後も記事を書く機会は増えている。だが、依然として管理職になって以降はヒマをもてあましている者が多いようだ。

 解説委員は管理職ではないが、彼らが錯覚を抱く原因はこのあたりにもあるのかもしれない。横井さんは、社内のネットワークで得た情報を基に、こんな分析をする。

「解説委員たちは、『俺たちは管理職をしている連中とは違うんだ』と言わんばかりの態度をとる。生涯記事を書くことを認められた、エリート記者なのだと信じ込んでいるみたい。だけど、月に数本しか記事を書かない。それで、年収1400万円だよ……。内線電話で同世代の管理職などと話すとき、偉そうに命令口調になる。みんなよりも、自分が数ランク上にいると思い込んでいる」

 解説委員のプライドを異様に高いところまで押し上げるのが、ある「からくり」だという。

 その1つが、社外のセミナー会社や役所などからの講演依頼を受け、50~200人ほどの前で話をする場を得られることだ。1回の講演料は、20~40万円。交通費は当然、講演の主催側が支払う。