カリスマの梁瀬次郎氏亡きあと
大不況を乗り越えた輸入自動車業界

 その梁瀬次郎翁は、2008年に91歳で鬼籍に入った。名実共に日本の輸入車業界のリーダーとしての役割を果たした梁瀬次郎翁だが、苦い思いも味わっている。それは、日本の自動車市場の高度成長に海外メーカーが着目したため、1980年代後半に日本法人の輸入権移管の動きが相次ぎ、ヤナセの位置づけが変わっていったことだ。

 1980年代半ば以降、海外メーカーは直接輸入権を持つインポーターへの転換を推進した。結果、日本の自動車市場の黎明期から地道に輸入車を増やしてきたヤナセは、ベンツやVW、さらに米GMに輸入権を移管して、「輸入車ディーラー」へと業態を転換していく過程で、辛酸もなめてきた。

 ともあれ輸入車は、1960~70年代の外車イコール「でかくてかっこいいアメ車」「洗練された個性のある欧州車」という憧れの対象から、「スーパーカーブーム」も経て、「輸出が愛国心なら輸入は国際心である」(梁瀬次郎翁)という、グローバル製品としての位置づけへと変わっていった。

 だが、輸入車業界では海外メーカーの直接日本法人化が進み、JAIAの位置づけや使命も、梁瀬次郎理事長時代から変わった。JAIAの理事長職には、2008年にメルセデス・ベンツ日本のハンス・テンペル氏が就いて以来、3人の外国人が続けて就任した。現在は、庄司茂・VW・グループジャパン社長が理事長であり、米国のベンチャーEV企業、テスラ・モーターズ・ジャパンも加入するなど、四輪・二輪車インポーターで構成されている。

 輸入車市場自体は、リーマンショック以降順調な回復を続けており、2014年の日本の新車市場における輸入車(外国メーカー車)は29万196台と、前年比3.4%増となった。輸入車市場においても、昨年4月以降に起きた消費税のかけ込み需要の反動は大きかったが、秋以降の輸入車各社の積極的な新型車導入の効果もあり、史上3番目の実績を残すことになった。

 こうしたなかで、このところ鮮明となっているトレンドは、輸入車の「勝ち組」と「負け組」がはっきり分かれ始めたということだ。

 何と言っても輸入車市場をリードするのはドイツ勢であり、このところブランド別のトップ3は、VW、メルセデス・ベンツ、BMWの指定席になっている。彼らを追ってシェアを伸ばしているのがアウディで、いずれも独ブランドだ。