上海株の異常な上昇基調。投機マネーの暴走、バブル崩壊、中国経済減速ともなれば、日本経済が被るリスクは計り知れない

 2015年の日本の金融市場にとって最大のリスクは、FRBの年内利上げと並んで、中国株リスクかもしれない。

 上海総合指数は、5000ポイントを超えて、対前年比2.5倍である。2014年12月頃から急上昇し始めた株価は、今年の3月以降はさらに加速度を増している。その一方で、危険なくらいに変動率(ボラティリティ)が高い。5月28日には前日比▲6.5%は下落したが、5営業日で終値は元に戻った(図表1参照)。▲6.5%と言えば、株価20000円のときに▲1300円の下落に相当する。6月4日は、寄り付きから一時▲5.4%下落した後、+6.4%まで上昇して高値引けとなった。現在の株価は、2007年のピーク(6092.057)に迫ろうとしている(図表2参照)。

 変動率の高さは、投機的取引に参加する投資家たちが、他者に同調して売買を繰り返すことによって生じる。個々の投資家が高い期待収益率を望むほど、値動きがリスク愛好的に変わっていき、変動率の高さを魅力的だと錯覚する。こうした上昇局面がずっと続くとは考えにくい。

投機マネーの暴走も?
金融緩和のひずみ

 上海総合指数の上昇は、減速している中国経済の成長率とは対称的である(図表3参照)。むしろ景気テコ入れのために、中国人民銀行が2014年11月21日以降、金融緩和に動いたことに反応している。11月以降の金融緩和策は、預金準備率の引き下げ、追加利下げと短期間で5回も打ち出されている。

「新常態」(ニューノーマル)の達成のため、金融緩和が必要だとしても、金融緩和に反応して投機マネーが暴走すると、かえって中国株の値動きがコントロールできなくなるように思える。