2014年度のJR各社の決算は過去最高をそろって更新している。しかし、その中身を見るともうけ方はまったく異なり、特にJR東海の高い新幹線依存率が目立つ。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介)

 日本の高速移動の主役ともいえる新幹線は、JR各社の経営を支えている。

 2016年にはついに、北海道にも開通。これによりJR四国を除いたJR全社で新幹線が走ることになる。

 しかし、新幹線が各社の収益に与えるインパクトを見ると、大きな違いがある。そこで、JR東海の収益にとって、東海道新幹線がどのような存在かを、あらためて浮き彫りにしてみたい。

 14年度は、JR各社にとって大きな追い風が吹いた。

 JR東日本、東海、西日本各社が4月末に発表した14年度決算の売上高、経常利益は3社そろって過去最高額となった。

 共通しているのは円安による外国人観光客の増加、いわゆるインバウンド需要により客数が増加したこと。中でもJR東海は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの観光需要という追い風も大きかった。

 3社共に、1年前の経営計画では減益か横ばいを見込んでいたから、いかにインパクトが大きかったかがうかがい知れる。ただし、そうした人の往来でどう稼ぐかは、各社で姿勢が大きく異なる。

 例えば、JR東日本。14年度の売上高2兆7561億円(前年度比1.6%増)のうち、非鉄道事業が8489億円。これは、JR各社の中でダントツに多い。

 JR東日本は都心の一等地を所有していることから、ファッションビルなどを展開し、小売り事業で稼いでいるのだ。このうちルミネは、アジア圏からの観光客も多く、3200億円を売り上げる。それだけにとどまらず、近年では改札内の商業施設、いわゆる駅ナカ事業にも力を入れている。

 ちなみに、JR東日本の新幹線からの収入は5212億円で19%程度。北陸新幹線が開業したこともあって、今年度は5568億円程度に膨らむが、それでも新幹線が屋台骨とまでは言い難い。

 そうした状況はJR西日本も同じで、売上高1兆3503億円(前年度比3%増)のうち、運輸収入は7970億円で59%、新幹線からの収入は3759億円で28%だ。