小室淑恵著 ダイヤモンド社刊 1300円(税別) |
先日、母校の女子大で講演をしたときのことです。そろそろ就職について考え始める2年生を対象に、私自身のこれまでの経験や最近の企業はどういう人材を求めているのか、これからの社会はどう変わっていくのかなどを話したところ、終了後にある学生が、目にいっぱい涙を溜めながら次のように言ったのです。
「小さい頃は、大きくなったら社会に出て働きたい、やりがいのある仕事を通して自分を成長させたいという気持ちが強かったのですが、いつの頃からかどうせ無理だし、まわりにも認められないとあきらめていました。でも今日、小室さんの話を聞いて、そういう生き方をしていいんだ、社会全体もそういう方向へ向かっているんだということがわかり、うれしくて、涙が出てきたんです」。
彼女の姿は、実は十数年前の私の姿でもあります。
今では、起業と同時に子どもを出産し、仕事もプライベートも楽しみながら毎日を過ごしていますが、私は大学3年生まで、専業主婦になるのが夢でした。
仕事と家庭は二者択一だと分けて考え、自分は家庭のほうを選ぼうと決めていたのです。当時は花柄のワンピースばかり着て、年上の彼とつきあい、まわりからは「コムちゃんが一番先に結婚するね」と言われていました。
人生をハッピーにする魔法のコンセプト
そんな私が、現在では会社を経営しながら、夫と子どもに囲まれ、自分なりに充実した人生を送れるようになったのは、ワーク(仕事)とライフ(プライベート)はむしろ相乗効果の関係なのだという、発想の大転換をしたからです。
それが、ワーク・ライフバランスという考え方です。つまり、ライフ(プライベート)を充実させることでワーク(仕事)の効率や成果がアップし、そのことでまたライフ(プライベート)が潤っていく好循環を生み出すということ。
もちろん、私もこのワーク・ライフバランスに簡単にたどり着いたわけではありません。ステップを踏みながら、1歩1歩進んできたのです。