絶好調の企業業績の
「平均回帰」が理由か?

 筆者は、以下のように考えた。

 媒体が経済紙でもあり、「私の履歴書」には企業人が1年12ヶ月のうち4〜5人程度登場するが、それらの企業人はくじ引きで選ばれる訳ではない。ここに選ばれるのは、知名度があり、業績も好調ないし少なくとも順調な企業である可能性が大きいのではないだろうか。

 栗田氏のレポートに掲載されている調査対象の一覧表の「私の履歴書」登場企業名を見ると、大型株に投資する投資信託の銘柄リストを眺めているような感じであり、各社とも登場時点での業績は悪くない。

 ちなみに、今年、去年の登場7社を登場が最近の会社から遡りつつ挙げてみると、日立製作所、ニトリホールディングス、日揮、コマツ、アサヒグループホールディングス、トヨタ自動車、東芝、と錚々たる顔ぶれだ(偶然だとは思うが、不正決算疑惑で揺れる東芝には早速、呪いがかかったように見える。常務役員に不祥事があったトヨタ自動車も気がかりだ…)。

 世の中で観測されるデータには、例えば、極端に長身の父親の息子は、平均よりも長身だが父親よりは背が低い、といった「平均回帰」の傾向を持つものが少なからずある。

 相対ROEを、「相対的な企業業績の好調度合い」だと考えたときに、日経が「私の履歴書」に取り上げたくなるような企業は、傾向として、業績が大いに好調な企業である場合が多かろうと推定される。

 残念ながら企業の絶好調は、長く続かないことが多い。「絶好調の業績」が、「単なる好業績」へ、さらには「凡庸な業績」へと平均回帰することは、十分に起こりそうなことであるように思える。

 しかし、平均回帰だけでは、相対ROEのプラス幅が縮むことは説明できても、相対ROEが大きくマイナスに落ち込むことは説明しきれない。これには、どんな理由があるのだろうか。

 好調な業績に会社や経営者が慢心するのだろうか? それも、あるのかもしれないが、精神論だけではリアリティがない。