東京・表参道にあるセイバンの直営店

 また最近の傾向では、ランドセルメーカー自らが直営店を開発するケースも増えています。

 ランドセル製造大手のセイバン(兵庫)は、東京・表参道や名古屋などに直営店があります。鞄工房山本(奈良)も銀座と表参道に、ハシモト(富山)は代官山や池袋・梅田などにショールーム兼店舗をオープンさせています。まるでファッションブランドのような出店立地に、ランドセルメーカーの直営店が続々と誕生しているのが現状です。

 このような中で、実は地方の小さな専門店が話題になっています。

 地方の商店街にありながら、驚異的な集客力で都内の百貨店並にランドセルを販売しているのです。今や単店のランドセル販売では、伊勢丹新宿店、阪急うめだ本店などと並んで日本のトップ3に入り、日本全国に知れ渡るようになりました。全国各地からランドセルを買いに足を運ぶお客様がいるほどで、ピーク時には店内に入りきれないほどの盛況ぶりです。この小さなお店に人が集まる理由とは、一体どこにあるのでしょうか。

 そのお店「ふくふくらんど」のランドセルへの取り組みを見ることで、ランドセルを取り巻く市場の変化が分かってきました。ランドセル活況の背景には、一見するとマイナスワードである「少子化」が深く関わっているのです。

きょうだい購入率、ほぼ100%の「ふくふくらんど」

 「ふくふくらんど」は、石川県金沢市に隣接する白山市にあるランドセル専門ショップです。

写真提供:ふくふくらんど

 同店を経営するのは、株式会社フクズミ(福住裕社長)という創業90年を迎える老舗企業です。もともとは婦人服の専門店として地元密着の経営をしてきて、現在も本店で婦人服の店舗を経営しています。そして立地は、ほとんど人通りのない、いわゆる地方の商店街です。

花はあるけど人はいない

 昔の衣料品店は、地域のよろずや的な位置づけでもあったため、どの店も学童用品を揃えていました。同店でも婦人服の横で、学生服や体操服、上履きや鉛筆などを販売していました。しかし、当時はあくまでも「ついで」。お客様が自分の洋服を購入するついでに、入学を控えたお子さんの学校用品を買っていたのです。ランドセルはそんなアイテムの一つでした。

 そして同社の将来像についてあれこれ検討していた2012年、同社の福住社長は「ランドセルを一番化する」と決めました。その理由はいくつかありました。