いま消費は所有価値(モノ)から使用価値(コト)へ変化している。第3回はシニア層では「モノからコトへ」の変化に、どのような特徴があるのかを分析し、シニア消費を活性化する3つの“C”について述べていきたい。
「コト消費」を顕在化させるには
複数のコト消費を組み合わせる
「一つ買ったら一つ捨てるというルールを作っています」
「物を所有するためにおカネを使うのは、できるだけやめようと思いました。同じなら思い出として心に残せるようなことにおカネを使いたいなと思うようになりました」
これは第2回でも紹介した最新のマーケット手法「MROC(Market Research Online Communities)」(注1)内で発言されていた会話であり、ほしいモノからやりたいコト、つまり「モノからコトへ」と変化するシニア消費を表した典型的な言葉である。
図1は、60代の人に「ものを持たない暮らしをしたい」かどうか、その意向を質問したものだ。男性の33%、女性の56%が「そうしたい」または「ややそうしたい」と回答しており、特に女性にモノ離れの傾向が見られる。MROCC内の別の発言を見ると、女性の場合、人生の終わりのための活動、いわゆる「終活」の一つとしても、身の回りのものを整理しておきたいという意識が働いているようだ。
MROC内で次のような発言が見られた。
「私の持ち物がこのまま残されたら整理するのは大変。いろいろな物を捨てていく…」
家事を担うことの多かったこの世代の女性は、自分の持ち物をきちんと整理してエンディングを迎えたいという意識があるのか、モノを持たない生活を送ろうという意向が高いようである。
(注1)インターネット上にリサーチ専用のコミュニティを構築することでアンケートやグループインタビューなど、従来の手法では得られなかった生活者の“本音”を発見することができる次世代のリサーチ・プラットフォーム。