2015年3月期は180億円の単体営業赤字に沈んだ大手ゼネコンの鹿島。第12代社長に就任した押味至一氏は「反転攻勢の準備はできた。期待してほしい」と自信を見せる。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)
Photo by Kazutoshi Sumitomo
──2017年度の単体経常利益350億円以上を目指すという中期経営計画を5月に発表しましたが、足元の営業利益は赤字です。実現に向け、どのように取り組みますか。
中計ではまず、1年目の目標達成が大事です。手持ち工事の量や施工高は期初に大体読めます。そういう意味では、(今年度の単体経常利益目標は220億円と)相当手堅い数字を出しています。
同時に、これは中計には詳しく書いていませんが、次の16、17年度に向けた準備の中での最大の試みは、大胆な人の配置です。協力会社の皆さんもわが社の社員も、今までより柔軟に仕事があるところへシフトします。
従来は支店ごとの工事量を最大化することが目標で、支店を超えて人を動かすことは当社ではあまりなかったのですが、これを実行します。中計でのこの部分の策定が私の主な役割でした。
前年度からは東北の被災地で建築工事も始まりましたし、東京都心でも長期的な再開発計画があります。数値目標に応じて工事のピークを見越し、資材の購入時期を明確化することも重要です。詳細の詰めはまだやっているところですが、これが1年目の最も重要な取り組みです。
──中計では現状認識として「単体営業利益の低迷」を挙げています。ライバル他社に比べると利益は見劣りし、回復も遅れています。国内での建設コストの急騰という経営環境は同様だったと思いますが、なぜ差がついたのか。何が要因だと考えていますか。
低迷というのは、14年度決算の結果です。それは、デフレ下で複数の大型建築工事を同時に受注してしまったことが要因です。
建設コストが高騰する前に、ばたばたと2~3カ月の間に東京都心の大型工事を受注しました。しかも、他社との競争の結果、少しだけ安く、です。大型工事は工期が長く続きますから、これが足を引っ張りました。