クラウドストレージの「Box」は、個人向けの無料サービスもあるが、主軸は企業向けの有料サービスである。すでに世界4万7000の企業・組織がアカウントを持ち、「フォーチュン500」企業の51%で利用されているという。創業者の1人でもあるアーロン・レヴィCEOに、クラウド時代の中心プレーヤーの1社となりつつあるBoxは、これからどこへ向かうのか聞いた。(取材・文/ダイヤモンド・オンライン IT&ビジネス 指田昌夫)
ファイル管理機能に
絶対の自信あり
Photo:DIAMOND IT & Business
――Boxは他のクラウドストレージと比べて何が優れているのか。
アーロン・レヴィ氏(以下・レヴィ) ただファイルを保存したり、共有するだけのストレージサービスではない。我々は次世代型のファイルサービスと呼んでいるが、高いセキュリティはもちろん、企業のガバナンス確保のために必要なファイル管理ツールが非常に多いのが最大の特徴だ。具体的には、管理者によるファイルの閲覧・変更履歴の確認や、利用者の細かい権限設定など、企業が求める管理システムがすべて揃っており、しかも個々の機能の能力が高い。
――機能が充実していても、それはいずれ他社に追いつかれてしまうのでは?
レヴィ 追いつかれるとは思っていない。現状のBoxのレベルに他社が達することはあるだろう。だがそのときBoxはさらに先を行っている自信がある。そのための優秀なエンジニアを数多く抱えていて、彼らは日々、次の世代のストレージのあり方を考えてツールを研究開発している。
――いま、最も力を入れている技術テーマは?
レヴィ 「プラットフォームの進化」だ。我々がいうプラットフォームとは、業種・業界別にチューニングしたツールが備わっているファイル共有基盤のことだ。
例えば、医療の分野では患者のカルテや画像による検査結果(メディカル・イメージ)などのデータについて、セキュアに管理しながら共有もしたいというニーズが高まっている。これが製造業であれば3Dイメージであり、メディア業界ならリアルタイムで動画を閲覧するといった具合だ。
また金融であれば、保存する文書にウォーターマーク(透かし)を入れるといった運用も必要になる。それぞれの業界、業種に関する法令や標準を満たし、業務の実情に合わせた新しいワークスタイルを生み出す管理機能を備えたファイル共有が必要だ。Boxは各業界の有力企業と共同で、その基盤を順次作っている。