「シャドーIT」の問題を
解決するツール

 無料のクラウドサービスを、従業員が勝手に業務で使用する、いわゆる「シャドーIT」の問題がクローズアップされている。なにが問題かといえば、企業側で使用実態がつかめないまま、業務の文書ファイルなどが自由に共有され、企業内の使用に限定することができないことだ。

 社内に止めておきたい自社の売上データなども、ひとたび無料のクラウドに載せられてしまえば、外出先からでも自由に見ることができる。

 もはや、これは特別なことではなくなっている。たとえば「Gmail」などのクラウド型のメールサービスを業務利用することを許している企業では、社員に宛てたメールに添付される社内限りの資料が、電車の中であってもスマホで簡単に見ることができてしまう。本人が何気なくスマホをいじっているうちに、社外秘の資料を外部に晒す恐れもあるのだ。

 このような事態を招かないためには、実際のところ、各社員がメールの件名などを見て、危なそうなメールは公の場所では開かないようにするなど自主的な対応に頼らざるを得ない状況だ。

 こうしたシャドーITの蔓延に企業として対策を取ろうとしたとき、業務使用に最適化されたファイル共有システムを利用するのが一案だ。

急成長中だが設備投資が先行

Box社エンタープライズ担当バイスプレジデントのホイットニー・ブック氏 Photo:DOL

 米Boxは、クラウド型ファイル共有ツールの大手企業だ。すでに全世界で22万5000社、2500万以上のユーザーが利用する。米国フォーチュン500社の実に99%が導入しているという。大手企業ではP&Gが約8万アカウント、GEは、全世界規模で約30万アカウントを取得しているなど、大口の顧客が増加している。

 2013年1月決算期の同社の売上高は5880万ドルだったが、2014年1月期には1億2419万ドルに急成長した。しかし同期の純損失は1億6889億ドルの大幅な赤字を計上している。クラウドサービスのため、データセンターなどの巨額の設備投資が先行する一方、売上は月額ベースで回収していくビジネスモデルのためだ。資本金を投下する設備投資とユーザーベースの拡大の“競争”となっている。

 Boxは日本市場にも進出している。昨年日本法人「ボックスジャパン」を設立し、今年5月にはBoxのサービスを全面的に日本語化した。伊藤忠商事、コニカミノルタなど国内大手企業の採用も進んでいる。また、トヨタ自動車は米国法人の従業員向けに数千アカウントを導入すると発表した。

 このように大手企業での採用が進むBoxだが、7月3日、米国本社のエンタープライズ担当シニアバイスプレジデントであるホイットニー・ブック氏が来日し、Boxが企業向けのITインフラとして優れたセキュリティと管理機能を備えていることを日本のメディアにあらためて説明した。