お母さんの覚悟
――他人と一緒にすごすのが楽しい子に

 3次元的にひろがっている赤ちゃんの行動に立ち向かうお母さんの役割は、いままでよりもはるかにむずかしく、大切になってきます。

 これまでの育児では、脳の発達にともなってできるようになる反応をひきだしてやればよかったのです。その上手、へたで、赤ちゃんの反応が速かったり、遅かったりして、行動発達の個人差があったのでした。

 この時期では将来、とりかえしがつかないほどの変化が脳のなかに起こっています。

(1)他人と一緒にすごすのが楽しい子ども
(2)他人と一緒にすごしにくい子ども
(3)他人とすごすよろこびを知らない子ども

 と、赤ちゃんがどれかのタイプの子どもになることがはっきり決まってしまいます。

 この本での目標はもちろん、(1)のタイプの子どもに育てることですが、母親がそのつもりでいても、この時期のちょっとした育児のやり方で、(3)のタイプの子どもに育ってしまうこともあります。

(3)タイプの子どもを(1)のタイプに変えることは、理論的に不可能であるということが実証されているわけではありませんが、2歳以後になると、非常にむずかしく、長時間かかってやっと(2)のタイプぐらいになる程度です。

 この時期の育児には、いくつかの落とし穴があります。一度失敗すると、この穴からなかなかはいあがれないのです。