日本の女子サッカー選手は厳しい環境でプレーを続けてきた。4年前にW杯優勝の快挙を成し遂げたことで、少しはよくなったともいわれる。

 代表選手がプレーする女子サッカー・なでしこリーグは一躍注目を集めるようになった。澤穂希、川澄奈穂美など人気代表選手が数多く在籍するINAC神戸の試合には1万人を超える観客が入ることもあるし、他のクラブの試合にも足を運ぶファンが増えた。BSやCSでは中継も行うようになった。

 W杯優勝以前のなでしこリーグは観客が入らないため入場無料の試合もあったほどだから(今も1000円程度で観戦できる試合が多く、Jリーグよりはるかに安いが)、世界一効果はあったわけだ。

代表組でもサッカーだけに
集中できる選手は少数派

 しかし、選手たちを取り巻く環境が大きく変わったわけではないようだ。代表組でさえクラブとプロ契約を交わしている選手は少数。年俸も500~600万円といったところ。プロ野球なら2軍の若手並みだ。それでもプロ契約できる選手は恵まれていて、注目度が上がった今も多くの選手が他の仕事をして生計を立てながらプレーしている。

 今大会、右サイドバックとして好プレーを見せた有吉佐織は横浜のフットサル場で働いていることがメディアで紹介された。フロントで午前10時から午後4時まで勤務し、20キロほど離れた日テレ・ベレーザの練習場にクルマで通う日々を送っているらしい。給料も平均的なOLに及ばないだろう。代表組でもこうなのだ。なでしこリーグでプレーしている多くの選手は、相変わらず、苦労しながらプレーを続けている。

 ただ、なでしこフィーバーを追い風に、選手たちの負担を減らし、サッカーに打ち込める環境を作ったクラブはある。INAC神戸だ。人気と実力を兼ね備えた代表選手が数多く所属していることから観客動員が好調で、クラブ経営の採算が合うようになった。そこで選手全員を運営会社の契約社員扱いにし、練習や試合に専念できるようにしたのだ。プロに対するような年俸は払えないが、生活の心配をせずにサッカーに集中してもらおうというシステムである。

 今回の準優勝で再び女子サッカーへの注目が集まるだろう。他のクラブもこのチャンスを逃さず、固定ファンをつかみ観客動員を増やすことができれば、このような環境改善が図れるかもしれない。