ユーロ経済圏という壮大な実験
“ギリシャの後”にも残る問題

 人類にとって壮大な実験とも言えるユーロ経済圏には、見逃すことのできない重大な欠陥がある。ユーロ圏19ヵ国は、それぞれに異なった経済規模や産業構造を持ち、生産性が違い、歴史的に期待インフレも異なる。

 何よりも、それぞれの国が独自の文化を有し言葉も違う。それらの諸国を、単一通貨であるユーロ、そしてECBが行う単一の金融政策で上手く運営することができるだろうか。

 おそらく、世界経済の状況が良好なときは、それほど重大な問題は浮かび上がってこないかもしれない。景気がよければ、“あばたもえくぼ”でマイナスの要素を隠すことができるからだ。

 しかし、経済状況が悪化すると、その状況は一変する。特に、大規模なバブルが崩壊した後には、痛みを伴う“後始末”をしなければならない。それは容易なことではない。今回のギリシャの場合も、リーマンショックによって世界的に景気が落ち込んだことが一つの引き金になっている。

 ユーロ経済圏形成の本来の狙いは、“ユナイテッド・ステーツ・オブ・ヨーロッパ”を構築して、米国に対峙できる大きな経済圏をつくることであり、それによって欧州の復権を果たすことだった。

 そうした仕組みを完成させるためには、最終的にユーロ圏諸国の財政政策も統一して、経済状況が悪化した国には、経済的余裕がある国から所得移転する仕組みを作ることも必要になるだろう。

 あるいは、労働者がユーロ圏諸国の中でもっと頻度高く移動するようになることが重要だ。しかし、そうした動きが定着するには、まだ多くの時間を要する。ということは、ユーロ圏諸国には、これからもギリシャと同様な問題が残っている。

 ユーロ経済圏という壮大な実験を成功させるためには、今後、参加国自身がさらに忍耐力を養うことが不可欠になる。それができないと、実験自体が暗礁に乗り上げる懸念を消すことは難しい。