自民党政権下では、「県内移設」という枠がはめられていましたから、鳩山氏が「最低でも県外」という発言をしたことは、県民にとってはものすごく大きな意味を持ちました。

 保守の稲嶺恵一元沖縄県知事が、「これで、苦渋の選択をしなくてもよくなった」という趣旨の発言をしていますが、稲嶺氏だけでなく、多くの保守の人たちの心情だったと思います。

──それまでの自民党時代は、「軍事的に、海兵隊の基地は沖縄にないとダメだ」と言われてきた。

 そうです。県内のメディアなどでは「海兵隊は沖縄でなくても機能する」という説は何度も出ていましたが、自民党政権下では海兵隊の抑止機能を理由に挙げて県内移設を推進しました。

 しかし、県外移設を模索しながらも、最終的には辺野古に回帰した鳩山氏が、首相辞任後の2011年2月に、海兵隊の抑止力は「方便」であった、と述べたのです。しかも翌12年12月には、安全保障問題の第一人者である森本敏防衛相が、「(普天間施設の代替基地は)軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると、沖縄がつまり最適の地域である」と明言しました。

 つまり、代替施設を「政治的に許容できるところ」が本土にはないので、沖縄にその負担を引き受けさせる、ということです。

 ここに至って沖縄の保守も、海兵隊の「抑止力」とは一体何だったのか、なぜ本土でも代替施設の建設が可能なのに、我々がその負担を引き受けなければならないのか、といった疑問と不信が出てくるわけです。

 そもそも沖縄の保守は、「沖縄を含むわが国の安全を保持する」という理由で日米安保条約の必要性を認め、しかも一定の範囲内で米軍基地を受け入れる、というスタンスをとってきました。

 しかし、安全保障上の理由ではなく、政治的な理由であることがわかったため、何も沖縄だけが「苦渋の選択」をする必要がないのではないか、ということになったわけです。

──なぜ「海兵隊の基地は軍事的に沖縄でなくても良い」のですか?

 この点は私の専門ではないので、メディアなどに掲載された情報に基づきますが、例えば尖閣をめぐって日中間で武力衝突が起こったとき、海兵隊がただちに投入されるということは想定しにくい。制空権、制海権をめぐる戦いになるため、主力は米軍では空軍と海軍となるわけです。制空権、制海権を握っていないところに陸上兵力を投入しないのが、米国の基本的な考えです。