医者の言うことは絶対! お医者さんの言うことを聞いていれば健康で長生きできる……。さて、それは正しいのでしょうか? 『「先生が患者ならどうします?」医師が自分のために選ぶクスリ・治療法』の著者・岡田正彦医師が、医者の本音と建て前にズバリと斬り込みます!
定期健診は
受けると寿命が縮まる?
とある講演での出来事です。
その日の内容は「定期健診・人間ドックは受けるべきか否か」に関するものでした。 すべてのプログラムが終わった後、一人の男性が私のもとに駆け寄ってきてこう言いました。
「実は、レントゲン検査を拒否したら、会社をクビになりました。もし裁判を起こしたら、先生に証言をお願いしてもいいですか?」
私は快諾し、連絡先をお渡ししました。
その後、残念ながらその方からご連絡はありませんでしたが、その日のことは今でも印象深く心に残っています。
この方が裁判を起こしたら勝てたか。
それは今となってはわかりませんが、「定期健診、特にレントゲン検査の是非を問う」という意味では、意味のある裁判になったかもしれません。
そもそもなぜ私たちは「定期健診」を会社から義務付けられているのでしょうか。
今から150年ほど前のことです。英国のドーベルという人が、一式の検査セットを定期的に人々に受けさせれば、きっと健康増進に役立つはず、と考えました。
以来、彼のアイデアは「定期健診」と呼ばれるようになり、瞬く間に、世界中に広まりました。
日本でも、さまざまな法律のもと、あるいは任意での定期健診が行われています。
とくにサラリーマンの場合、「事業者は、労働者に1年以内に1回以上、血液検査、心電図検査、胸部レントゲン検査を実施しなければならない」という法律があり、受けない人がいると事業者のほうが罰せられてしまうのです。