国会議事堂の周囲に何万人もの人が集まっても、結局彼らは「ごく一部」の人でしかないことを与党はよく知っている。「アベ辞めろ!」とマイクで叫んだって、日本人の大多数が安倍政権を支持する限り、安倍総理が辞める筋合いはない。そして大多数の人々は、政治なんかに全く関心もなく、すぐに忘れてしまう。

 つまり、「あなた」は政治家から舐められているのである。

砂川事件をめぐる奇妙な解釈
安保法制が憲法違反である理由

 とはいえ、今回の法案が多くの学者から「違憲」と指摘されていたことは事実である。日本が集団的自衛権を行使することに前向きなアメリカの学者(コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授)でさえ、「安倍総理が完全に憲法を無視している」と懸念していた。

 客観的に見て、政府の見解は滅茶苦茶であった。安倍政権は、安保法制の合憲性を語る根拠として砂川判決を引用したが、どこをどう読めばこれが集団的自衛権を認めたことにつながるのか、不明である。

 まず、砂川事件とは何か。

 1955年、米軍の飛行場の拡張計画を収容対象地域である砂川町(現東京都立川市)の反対を無視して強行したため、約300人が飛行場境界内に抗議のために立ち入り、7名が起訴された事件である。

 この裁判により、一審判決は「憲法9条は自衛のための戦力の保持をも許さない」と断言し、米軍についても「わが国が自国と直接関係のない武力紛争の渦中に巻き込まれ、戦争の惨禍がわが国に及ぶ怖れは必ずしも絶無ではない」として、米軍を違憲とした。

 だが、最高裁でこれが覆された。「わが憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではない」とし、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと」と述べた。安倍政権は、この文言をもって「集団的自衛権も合憲」と主張したのだ。

 だが、この砂川判決はこう続けている。

 憲法9条2項が「その保持を禁止した戦力とは、わが国がその主体となってこれに指揮権、管理権を行使し得る戦力をいうものであり、……外国の軍隊は、たとえそれがわが国に駐留するとしても、ここにいう戦力には該当しない」