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マイクロソフトが音声アシスタント「コルタナ」で
グーグルやアップルとは違った戦略に出た理由

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第354回】 2015年7月22日
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 マイクロソフトにとって、アンドロイドやiOSへコルタナを拡大することは非常に重要なステップと言える。モバイル戦略では遅れをとり、ウィンドウズ・フォンの市場シェアは3%に満たない。デスクトップでウィンドウズを利用しているユーザーも、モバイルとなると他社製品を使っているのが実情だ。そこで、他社のプラットフォームにまで拡大してユーザーを1つのブランドのもとに留めておくことが、マイクロソフトにとっては何としても必要になっているのだ。そのブランドが、コルタナというわけだ。

 ただし、アンドロイドやiOSでのコルタナ・アプリは所詮他流試合になる可能性もある。たとえば、リークされたアンドロイド用のアプリでは、OK,Googleのようにいきなり話しかけても起動しなかったという。推測する限り、アプリ立ち上げにはアイコンをクリックすることが求められそうで、それではパーソナルアシスタントの魅力が削がれてしまうのは避けられないだろう。

 とは言うものの、マイクロソフトはコルタナのブランドをもっと広く捉えて、同社のこれからの戦略の中核に置いていることも明らかになっている。

 先だって同社のワールドワイド・パートナーズ・コンファレンス(WPC)で発表されたところによると、同社はコルタナをビッグデータ処理の背後に控えた大きな頭脳としてアピールしている模様だ。

 「コルタナ・アナリティクス・スイート」では、データから予測や分析、顔面や画像、音声認識、データ・ストレージや情報管理まで含め、コルタナを次世代のビジネスに欠かせないテクノロジーに位置づけている。

 そこから見ると、パーソナル・アシスタントのコルタナは、その頭脳のほんの一部が出てきたものに過ぎない。グーグルやIBMなどに見られるように、AIや頭脳への投資は各社にとって今やクリティカルなものになっている。おそらくマイクロソフトにとって、コルタナは次の勝負を闘う最前線なのかもしれない。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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