米国のデパートやアパレル販売店は、Eコマース(電子商取引)の激しい攻勢を受けて値下げを余儀なくされている。今の消費者は店頭で気に入った商品を見つけると、スマートフォンでバーコードをさっと読み込み、アプリが瞬時に探してきたインターネット上の安い店で、それを即購入してしまうからだ。
それに対抗するには、リアルな店舗の販売価格をネット上の価格にある程度近づけなければならない。6月の消費者物価指数(CPI)における衣料・履物の前年同月比は、ドル高による仕入れ価格の下落に加え、そういった競争激化もあって、マイナス1.8%だった。つまり、デフレなのである。
ニューヨーク5番街の超高級デパート、サックス・フィフス・アベニューですら価格競争に巻き込まれている。さすがに本店での値下げはイメージが傷つくため、同社は郊外で「サックス・オフ・フィフス」という名のアウトレット店を展開している。
同じく米高級デパートのノードストロームも「ラック」というディスカウント系の店を増加させている。ニューヨーク市内の店舗をのぞいてみた。その名の通り、ラック(棚)に、靴などが箱のまま置かれている。店舗面積の割に店員数は少ない。ネクタイを購入してみた。そこそこのブランドだったが、2本で32.94ドル(4100円程度)と安い。
支払いを済ませたところ、レジ係がレシートに蛍光ペンで線を引きながら(写真)語りかけてきた。
「あなたはこの買い物で47.03ドル節約できました。支払額より節約額が大きいのです。あなたは買い物の天才です!」