禁止令を無視した業者と地方政府、
ついに習政権が規制に本腰

 そもそも、ゴルフ場開発はすべてが曖昧に規定されていた。ゴルフがスポーツなのか、娯楽なのか、その類別も曖昧だった。明確な政策が確立されないまま、初めてのゴルフ場が広東省に開設されてから30年が過ぎた。

 その一方で、乱開発を抑制するため、国務院は2004年の早い段階で「ゴルフ場の新設中止」のお触れを出した。ところが、以後2014年までの10年間に、ゴルフ場の数は一気に50ヵ所も増えてしまった。

 国土資源部が登記している“正式なゴルフ場”の数は10ヵ所しかない。いわゆる違法建設は640ヵ所近くにも上るというわけだ。こうした極端な事情からは、「建設停止措置」はむしろ玉虫色の法律解釈を助長し、地方政府による取締りをなし崩しにさせてしまったと言える。

 それどころか、黙許料としての贈収賄という不正行為を全国的に蔓延させてしまったのである。中国もバブル経済真っただ中、誰もがこのやりたい放題に目をつぶっていた。

 ようやく開発抑制に本腰が入ったのは、習近平政権になってからだ。2014年7月、国家発展改革委員会、国土資源部など中央の11の機関が一斉摘発に乗り出した。同年9月から年末までに北京では12コースが閉鎖した。

 また、年末、広東省では現職の党と国家の就業者がゴルフに興じることへの禁止令を出した。にもかかわらず、この年、17コースが新設された。2014年時点で中国のゴルフ施設は538ヵ所、18ホールの数にして合計で656ヵ所が確認されている。

 大連でゴルフビジネスを展開する日本法人幹部はこう明かす。

「実は2011年にも、『全国のゴルフ場整理』を名目に、ゴルフ場開発は再度中止が強調されました。にもかかわらず、蓋を開ければゴルフ場は増加する一方で、それを摘発したのが今回の沙汰なのです。ゴルフは贅沢な遊びと認識する習政権は、『もともと開発許可など出していない』という流れで摘発し始めたのです」

 この10年間、地方は完全に中央を無視し続けてきた。地方政府のゴルフ場開発をめぐるやりたい放題に対して、中央政府がこれまで出した禁止令は実に11にも及ぶ。腐敗撲滅と環境対策を掲げ「中央に従え」と迫る習近平政権、今回の沙汰はまさしくその威信回復を賭けた闘いだと言えるだろう。