この動きを後押しするかのように、2020年の東京五輪開催が決定した。『ハラール市場年鑑2013』によると、2011年時点での世界のイスラム教徒の人口は、16億2154万人と推定されている。世界人口約70億人のおよそ4人に1人が、イスラム教徒にあたるのだ。

 五輪には200を超える国々が参加することから、イスラム圏からいかに多くの観光客が日本にやってくるか、容易に想像できるだろう。イスラム教の宗教的なレギュレーションに従った、安心安全な食環境づくりは急務なのだ。食品・飲食関連企業、外食産業、ホテルなど、多くの企業がハラールに関心を持ち、アクションを起こし始めている。

「五輪開催に向けて、国としても本腰を上げて取り組み出したのではと思いますが、2020年以降もこの動きは拡大し続けるでしょう。地方でもハラール対応する企業が登場するなど、これを地方活性化のチャンスにしたいと意気込んでいます。国を挙げてのグローバル化がさらに進展していくでしょう」(松井氏)

地元の名物料理をハラールフード化
浅草を訪れる観光客が2倍近くに

 ここからは、企業や団体が具体的にどのような取り組みを始めているのか、詳しく見てみよう。経済産業省委託事業「平成25年度クールジャパンの芽の発掘・連携促進事業(プロデューサー人材派遣事業)」に採択された「訪日外国人旅行者の食満足度向上による商店街活性化プロジェクト」(2013年7月~翌年3月)の事例を紹介したい。

 同プロジェクトは浅草商店連合会、NPO法人 日本アジアハラール協会など、いくつかの企業・団体による共同事業だ。中心になったのが、訪日外国人向け観光ガイドサイト「travelience.com」「triplelights.com」「planetyze.com」を運営する株式会社トラベリエンスだ。同社では2013年3月~2015年7月まで、4000人を超える訪日外国人観光客にツアーを提供してきた。