ヘールト・ホフステード
 ホフステードは、職業や仕事に関して人々が持つ価値観を国の文化と関連づけ、権力の格差、個人主義対集団主義、男性らしさ対女性らしさ、不確実性の回避という4つの「次元」で定義した(一般には「ホフステードの4次元」として知られている)。彼はまた、文化的差異の研究のための「価値観調査質問集」を考案し、多くの研究者に採用されている。

人生と業績

 ヘールト・ホフステード(1928年生まれ)はオランダ人の学者だが、企業でも長い経験を積んでおり、特にIBMでの研究は有名だ。彼はオランダのマーストリヒトにあるリンブルフ大学の組織人類学および国際経営論の名誉教授で、「異文化間協力に関する研究所」を設立し、国民文化および組織文化の研究の第一人者として知られるようになった。1960年代後半から70年代前半にかけて6年間にわたって巨大多国籍企業における大きな研究プロジェクトを実施し、その後の思想のほとんどはこの研究を基盤にしている(この企業は当初ヘルメス社という偽名で知られていたが、後にIBMだと公表された)。

 文化的多様性のマネジメントは、多国籍企業だけでなくあらゆる規模の企業にとって重要な問題となりつつある。グローバルビジネスの台頭によりジョイントベンチャーや国境を越えた提携が増加し、欧州連合内における協力関係が拡大し、企業はさまざまな民族的背景や文化を持つ人々を抱えなくてはならなくなってきた。こうした要因により、文化に対する感受性の強化が重要になった。文化的問題を無視したり軽視したりすれば、国際経営活動においては取り返しのつかない問題につながりかねない。たとえば西洋の価値観を東洋に持ち込むことはおそらく不適切で、企業文化やマネジメントの方法を現地の状況に合うように手を加えることが必要である。ホフステードの研究は文化的差異を理解するための枠組みを提供している。

思想のポイント

●文化の概念
 ホフステードは、文化とは集団構成員に共通のものだが、多くの場合目には見えず、無形ではあるがある集団や組織や国を他に対して特徴づけるものであると定義している。彼の見解では、文化は2つの主要要素から成り立っている。1つは中枢にある目に見えない価値観、もう1つは表層にあってある程度目に見える有形の要素で、一般に慣習と呼ばれるものである。