「すなば珈琲」の自虐型炎上商法は
もっともリスクが少ない

 ここまで「ROM型」「センセーション型」という2種類の炎上商法を紹介してきたが、ほとんどの企業では「そんな危ない橋を渡れない」という反応がほとんどだろう。だが、実はもうひとつ、これまでと比較にならないほど低リスクで仕掛けられる「炎上商法」がある。

 それは「自虐型炎上商法」だ。

 今年6月、鳥取県に初めてスターバックスが進出して大きな話題になったが、時を同じくしてネット上で大きな話題になった鳥取の喫茶店がある。「すなば珈琲」である。

 彼らはスタバのオープン日に合わせて、「ついにこの日がやって来ました 大ピンチキャンペーン」と銘打って、「3回に1回ぐらいはぜひ、当店の方をご利用ください」という宣伝文句のPRを展開したのである。この自虐ぶりがネットユーザーにウケて、入店待ちの行列ができたほど人気となったのである。

 だが、このような「自虐」をおこなう際にひとつ注意をしなくてはいけないことがある。中途半端だと、かえって反感を買うという点だ。想像してほしい。「大ピンチだ」「うちはマジでヤバいぞ」と大騒ぎしている者が、実はよく見たらピンチどころか、安全地帯にしがみつているのを見たらどうだろう。「バカにするな」と怒りがこみ上げるのではないか。

 そのやってはいけないことをしたのが、冒頭で触れた、フジテレビの27時間テレビだ。

 すなば珈琲のような「ピンチ」をうたえばウケると踏んで、上っ面だけをパクって「めちゃめちゃピンチ」と大騒ぎをしたものの、「フジテレビが危ない」とは口がさけても言わない。これはフジメディアホールディングスの株主への配慮というよりも、巨大メディア企業がそこまで自分を貶めることは、プライドが許さないのだろう。

 だから、テレビ業界全体のモヤモヤした不満を芸人たちに言わせてお茶を濁す。民放連の新年会でやればいいような「建前論」を延々と放映されても面白いわけはなく、かえって視聴者に不快な印象を与えてしまったのだ。