ジャズの革命を起こしたマイルス

◆ビッチズ・ブリュー

 ディランやグールドがそうだったように、マイルス・デイビスも革命児です。既存のジャズを破壊し、新しい響きを主導してきました。

 ディランが「追憶のハイウェー61」でフォークをロック化する6年も前。1959年3月と4月、この30丁目スタジオで「カインド・オブ・ブルー」(写真上)を録音したマイルスは、より自由なモード奏法で革命を起こします。それから10年を経た、1969年8月。同じ30丁目スタジオでマイルスは「ビッチズ・ブリュー」(写真下)を完成させます。これが、ジャズの“電化”を決定付けます。これ以降、ジャズは新しい次元に突入するのですが、この音盤については、またの機会に。

 古来、人々は様々な場所に神々が宿ると信じていました。有史以前のアミニズムもそうです。ギリシア神話にも古事記にも、実に多彩な神々が登場します。しかし、科学技術の発展した現代は、客観的かつ物理的な証明を求めています。神々の存在はスピリチュアルな世界の事のようです。しかし、名盤・名演に出会うとき、目に見えず触ることもできないインスピレーションが介在してると感じることがあります。

 録音スタジオには、音楽の神ミューズが宿っているのかもしれません。

(音楽愛好家・小栗勘太郎)