この経緯を見ると、規制委は、(1)2013年5月22日には有識者会合の結論を根拠に“活断層”と「判断」し、(2)同29日には報告の「命令」を出したにもかかわらず、(3)2014年12月3日になって有識者会合の位置づけを「知見の一つとして参考」と変更したのだが、「従来から変わっていない」と説明している。これは大いなる矛盾(というよりも、虚偽)ではないのか?

 さらに、この「判断」や「命令」の取り扱いには触れず、“活断層”の結論は残ったままとなっている。それらに関して2014年12月5日に原電から質問され、規制庁は回答するまでに半年を要した。なぜ、これほどまでに時間がかかったのか。

有識者会合の結論を“水に流し”
問題をうやむやにしたいのか

 通常、行政機関の行為には法的位置付けが確立されている。規制されている側(事業者)からの質問に対して、規制する側(行政機関)がこれほどまでに回答に時間をかけるのは、明らかにおかしい。

 頻繁に登場する“有識者会合”には、実は法的根拠はない。その位置づけについては、各方面で疑念や批判が少なくない。この有識者会合メンバーの中には積極的に政治活動を行っている“有識者”もいるなど、中立公正な審議がなされているか、大きな疑問もある。

 このため規制委は、有識者会合の結論をそのまま判断材料として利用することをやめ、“参考”に格下げしたのではないだろうか。そうした見直しは悪いことではない。だが、過去に下した行政処分、例えば“活断層”判断や報告に関わる命令などについて、それらの取り扱いをどうするのか、法的問題も含め整理しておく必要がある。さらに、行政機関としての一貫性を欠いてまで方針変更を行わなければならなかった理由を、規制委・規制庁はしっかりと説明しなければならないはずだ。

 規制委・規制庁が、有識者会合の位置づけを変更した理由を説明しないのはなぜなのか? “メンツ”を保つために有識者会合に関わる行政手続きに大きな問題があることを認めたくないからなのか? 過去の行政判断が間違っていたとなると、その命令に従って評価・報告した原電から損害賠償を請求されることを恐れているのか?

 有識者会合による活断層調査では、敦賀原発、東通原発、志賀原発については、活断層の存在が否定されていない“クロ判定”が出されており、評価結果は再稼働申請に関わる審査において「重要な知見」として扱われる。

 日本原電・敦賀原発の再稼働申請は、今夏から今秋の間になされると聞く。その場合、規制委・規制庁による活断層審査が再度行われるのだろうが、「過去のことは水に流せ」では通用しないのではないか。方針変更を「従来から変わっていない」と強弁したままで、また、「準備に時間がかかっている」と回答を引き伸ばしたままで、こうした問題をうやむやに終わらせようと規制委・規制庁が考えているとするならば、公正な行政運営を放棄したのも同然だ。