日米関係と比べものにならない
米中の強い絆

 もう1つの誤算は、米中関係を甘く見積もったことです。1784年に米国が中国に貿易船を出したことから、米中の交流は始まります。ペリーが日本に来航した1853年より69年も早く、しかも対等な関係でした。この中国との貿易で、米国は市場を広げることができました。

 その後、米国から宣教師が次々と中国に渡り、布教活動をしながら学校を創設したり、医薬品をもたらしたりしました。中国は英国を中心とする欧州列強の帝国主義よりも、利益をもたらしてくれる米国を好意的に受け入れました。古代と冷戦時代はともかく、18世紀以降は、少なくとも中国のほうが、当時鎖国をしていた日本よりも米国と深い関わりを持っていたのです。日本はその関係性に気がつかず、結果として中国侵略で米国と衝突し、日米開戦となってしまいました。

 最近は中国脅威論が叫ばれ、米中は覇権争いで対立していると言われていますが、私は必ずしもそうではないと思います。今でも、両国はお互いの重要性を認め合ったうえで、非常にしたたかに振る舞っています。

 2013年、オバマ大統領と習近平国家主席は、8時間半にもおよぶ会談を行いました。今年9月にまた習国家主席が米国に行きますが、おそらくこれも内容の濃いものになるでしょう。4月の訪米で安倍首相は歓迎されたことになっていますが、比べものになりません。

 戦後、アジアで米中の絆となってきたのが、日本の軍国主義への警戒です。米国は中国に対して、「日本は米国の軍事的な傘の下にあり、核武装もさせない。だから心配しなくていい」というメッセージを送り続けています。

 安保条約があり、沖縄の基地に米軍がいることで、中国が安心しているというのは一つの真実です。これが自衛隊だと、一気に緊張が高まるでしょう。事実、これだけ沖縄の基地問題でもめているのに、中国は一切口出しをしません。韓国もそうです。日本が再び軍国主義になることへの恐怖と不信感は、中国、そして韓国に今も根強く残っているのです。