中国があからさまにアメリカの覇権に挑戦しようとしているいま、アメリカはアジアにおける中国の台頭に対処しなくてはならないという強い危機感を持っています。中国に対抗するために、その他の国との対立についてはできるだけ幕引きをしようと考えているのです。

 アメリカが今年の7月にキューバと54年ぶりに国交を回復した裏には、自国の裏庭である中南米の国々に急接近しようとしている中国の存在があります。援助外交や運河建設で中南米の反米国に接近している中国をにらんで、足元をしっかりと固めようとしているわけです。

 こうしたアメリカの外交方針はオバマ政権だけのものでなく、次の政権が民主党のクリントンになろうと、共和党のブッシュになろうと変わることはないでしょう。

 そういうアメリカの視点から見れば、当然、中東で新たな紛争など起こってほしくないわけです。だから、攻撃的な姿勢を持つイスラエルのネタニヤフ政権をアメリカが支持することはありません。

 アメリカにとって本当の脅威とは、中東の大国とはいっても、やはりイランではありません。経済制裁に苦しんでいるロシアでもありません。習近平体制のもとで世界の覇権国家を目指している中国であるのです。

 そして、そのイランとの関係改善は、エネルギーの需給バランスの変化を引き起こし、世界の勢力図を変えてしまう可能性を秘めているのです。

(後編につづく)

※後編は「米ロの電撃和解の可能性」について。8/26(水)公開です。