南北関係の今後は楽観できず
両者とも国内的考慮が優先

 8月25日早朝となってようやく南北高官協議は合意に達し、北朝鮮による遺憾の意の表明と韓国側の北朝鮮体制批判宣伝の休止、南北当局間協議の早期再開、離散家族の再開事業の実施のための赤十字会議の開催、民間交流の活性化などが決められた。これは地雷事件に対して北朝鮮から明確な謝罪ではなくとも遺憾の意が表明されたことでお互いの面子を立て、ようやく当面の危機管理が行われたということだろう。

 ただ南北双方の国内事情を考えれば、今後の南北関係が順調に進むとは考えられない。北朝鮮の金正恩体制内では数多くの有力な幹部の粛清が伝えられ、体制が安定しているわけではない。ここで弱腰を見せることは国内体制維持のために避けなければならないと考えているだろう。韓国においても朴槿恵大統領の支持率は低迷しており、任期半ばで政権が求心力を回復するには毅然とした態度を貫く必要性もあるのだろう。

 このように北朝鮮も韓国も国内的考慮が優先されざるを得ない政治情勢になっていることを見誤ってはならない。今後、南北当局間協議や各種交流が進んでいくことが期待されるが、何らかのきっかけで再び緊張が激化することは想定しておかなければならない。さらに重要であるのは、このような南北の動きを米、中、露、日を含む6者の枠組みにどう連携させていくかということである。日本はどういう戦略を持って考えていくべきかについては本稿の末尾で述べたいと思う。

北方領土で揺さぶりをかける
ロシアの意図は何か

 次にロシアの動きである。最近、同国が北方四島の実効支配の強化のための計画を発表したり、メドベージェフ首相が択捉島を訪問したりしていることは、明らかに日本への揺さぶりを意図しているのだろう。これは北方領土問題についての戦略というより、ウクライナ問題をはじめとしたロシアの対西側戦略の一環と見ることができる。

 プーチン大統領下のロシアは、冷戦終了後の国際関係で失ったものは大きいという判断の下、クリミアを併合し、ウクライナがEUやNATOに向かうのを阻止するという行動をとっている。これが結果的には対ロ制裁やロシアの国際社会における孤立に繋がった。

 しかし、ここに来てロシアは中国との協力連携強化、中央アジアでの影響力の確保、中東とりわけイランとの関係強化といった外交的攻勢に出ている。これは米国との関係を冷戦終了後の協力と協調から、より緊張した関係に舵を切るということを意味している。