年功序列はダメなのか!?
功績を残した人を評価すべし

 ここまで「成果主義はやる気と業績アップにつながる」という定説に関して中小企業では必ずしも当てはまらないことを指摘しましたが、最後にほかにも誤解されている定説について書かせてもらいます。

 それは「年功序列はもうダメだ」という考え方です。

 しかし実態としては、従業員が30人未満の中小企業で、私がお手伝いしているところについては、どこでも「年功序列」になっていることが多いのです。こう申し上げると、「今時年功序列を良いと思っているのか」と驚かれるかもしれませんが、経営理念とビジョンを共有した形で人事評価制度を導入した企業は、結果的にそうなっているのが18年のコンサルティング経験で積み上げた私の結論です。

 ただし、年功序列といっても正確には「勤続年功序列」です。

 これまでの経験を振り返ると、人事評価制度が定着し、人材が順調に成長している会社は社員の定着率が高いため、比較的勤続年数の長い社員が幹部となり、創業時から社長と苦楽を共にしてきた人が管理職、リーダーとして活躍、社長の右腕として会社を支えています。

 その意味で、年功序列の「功」は功績の功と言えます。実は、年功序列という言葉は、単に年齢が高い順に役職・職位に就いているのか、功績を残した人を登用して会社の中核を担うようにしているのか、どうも混同されて議論されているような気がします。本来の年功とは、功績の意味も含まれます。

 振り返ると、成果主義を過度に信奉したり、年功序列を否定的に捉えたりする風潮は90年代から強まりました。大企業での取り組みを模倣して中小企業も人事制度に取り入れましたが、失敗したケースも多く見聞きします。実際、私のいくつかのクライアントもご相談当初は、そうした痛い目に遭われたと打ち明けられます。

 世間でもてはやされている経営手法、人材育成手法が本当に自社にマッチしているのかどうか。よくよく見極めなければなりません。中小企業には中小企業の取るべき道があるのです。