邪魔にされがちな「課長」
ソニーでは管理職の半数が格下げ
雑誌「AERA」(7月13日号、特集「日本から課長が消える?」)とニュースサイトNewsPicksが連携して、日本企業の「課長」について多角的に取材し、議論している。「課長」は必要な存在なのだろうか。
ソニーでは、年功要素ゼロの「ジョブグレード制」が新たに導入され、現在の役割のみに基づき社員を格付けし、給与をこれにリンクさせる。この制度変更で、社員の4割を超えていた管理職の半数が格下げされたという。平井一夫社長が報酬委員会の社外取締役たちに守られて(?)3億円を超える報酬を取る一方で、ソニーの課長級管理職たちにとっては厳しい措置だ。
「AERA」の記事によるとソニーの新制度は「マネジメント等級群」と「インディビジュアルコントリビューター等級群」に分かれ、前者の最下級である「M6」は「統括課長」に対応しており、「今後は課長以上のポストに就く人は厳選される」とのことだ。課長が完全消滅するわけではなさそうだが、方向性は課長削減に向かっている。
他方、ライバル企業であるパナソニックは、14年ぶりに部課長制を復活する。こちらは真逆の方向性だ。目的は「部下の育成」にあるといい、1人の管理職が見る部下の数は約7人だ。意思決定の迅速化のために組織をフラット化したが、人材育成力が弱まったことが反省点となって、制度改正につながったという。
筆者がこれまでに勤めた13社には、課長がある会社もない会社もあったが、印象的だったのは、1980年代初頭の三菱商事が、「課」と「課長」を、「チーム」と「チームリーダー」に置き換えたケースだ。これは、「課長級」のポストに上げて処遇したい社員が増えたにもかかわらず、それだけの数の「課」を用意することができなくなったことに伴う苦肉の策だった。当時、課の呼称を「チーム」に変えて「チームリーダー」を作る一方で、社外向けに「課長」という肩書きは残った。
筆者は為替のディーリングの部署にいたが、隣の銀行のチーフディーラーから電話がかかってきて、「おたくのチアリーダーはいらっしゃいますか」とからかわれ、何やら恥ずかしかったことを覚えている。