子に追いつかれないよう、
親も努力しなきゃアカン
私が教えた子どもたちの才能の進歩ぶりを自慢すると、夫は、
「申し訳ないが、あのご両親では、その子についていけないのと違うか」
「あの子は、親より賢いかもしれんよ」
などと皮肉を返します。
しゃくにさわりますが、そのとおりです。
「先生、やっぱり女の子ですから、かわいくて、素直な子がいいです」
家の跡取りにしたいと、生後20日であかりちゃんを私のところにつれてきたお父さんが言いました。
「いまさらあかん、遅いわ」
下に男の子ができたのと、私がみっちり帝王学を仕込んでいる年子の姉が、だんだんとゴツクなってきたことに脅威を感じたのでしょう。
しかし、無理もないのです。
お姉ちゃんは、下に弟ができたことを早く知り、すでに自分の置かれた立場を理解しているのです。
「どうも、カヨ子ばあばは、いままでとなにか違ったことを教え始めた」と勘づき、いつもの「こんにちは~」という愛くるしさを私に見せなくなり、「今日は、なにを教えてくれるんだ」といった顔でにらみつけてきました。
その表情は、同年代の子と大きくかけ離れた、大人びたものでした。
そう言えば、いつのまにか、声を立てて泣くこともなくなりました。
もうすぐ、親のほうに足りない部分が出てきます。
親は、この子に追いつかれないよう、親としての努力を重ねなければなりません。
ここのところ、気に入らないことがあると、この子がお姉ちゃんになった記念に私があげた人形(名前は“カヨ子”)を、「カヨ子のバカ~!」と天井に放り投げるそうです(笑)。
彼女は、その人形と私への思いが入り混じって、自分の気持ちを処理できないのです。
このとき、どのような心理だったか、きっと彼女なりの表現で訴えたのでしょう。どんな場合でも、記憶能力の高い子は知育するのに有利です。
これからさらに高いレベルの、広範囲な「脳トレ」をしなくてはと、決意を新たにしているところです。