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「『それぞれの世代がそれぞれの革命を必要とする』とは、トマス・ジェファーソン晩年の言葉である。同時代のドイツの偉大な詩人ゲーテも、その保守的な性向にかかわらずこううたった。『存在の理由はなくなり、恵みは苦しみとなる』。いずれも啓蒙思想とフランス革命が遺したものへの幻滅を表していた」(『イノベーターの条件』)
これらの言葉は、200年後の今日、あの偉大な約束、福祉国家がもたらしたものについていえる。
人の手になるものは、すべてできあがった瞬間に陳腐化を始める。
真に困窮した者、障害ある者のためにプロイセンで生まれ世界に広がり、やがて皆の権利となり、いまや生産活動に携わる者すべての負担となったあの福祉なるものも見直しが求められている。
必要なことは、自立、能力、責任を生み出すよう見直すことである。福祉が不要になることはない。人を援助すること、少なくとも一時的に援助することの必要性は確実に高まっていく。今日、経済と社会の大転換が進行中である。その結果、至るところで社会的なミスマッチが生じている。
こうしてあらゆるものが変化し、あらゆる種類の組織、制度、政策に変化を要求している。
「組織、制度、政策もまた、製品やサービスと同じように生命を失ったあとも生き延びる。目的を達したあとも生き延びる。目的を達せられなくとも生き延びる。一度できあがったメカニズムは生き続ける。『存在の理由はなくなり、恵みは苦しみとなる』」(『イノベーターの条件』)