『ブルー・オーシャン戦略』はバイブル

入山 今回私がお伺いしているのは、受験サプリがまさに「ブルー・オーシャン戦略」にはまっていると思ったからなんです。ブルー・オーシャン戦略の本質は、既存事業から特定の要素を取り除いたりしてメリハリのある「戦略キャンバス」を作り、市場の境界線を引き直して新しい顧客層を開拓することです。「受験サプリ」さんを見ていると間違いなく当てはまっていると思うのですが。

山口 そう言っていただけると、非常にありがたいですね。私は受験サプリ事業を考えるときに、ブルー・オーシャン戦略を大いに参考にしたんですよ。

入山 えええっ、そうなんですか!

山口 はい、「受験サプリ」を立ち上げる頃、クリステンセン教授の提唱する破壊的イノベーションや、チャン・キム教授のブルー・オーシャン戦略って、僕にとってはバイブルだったんです。破壊的イノベーション×ブルー・オーシャン戦略という、掛け算のビジネスをどうしてもやりたいと。

 やっぱりこれから席巻できるサービスって、破壊的イノベーションと言われるようなビジネスモデルでなければならない。もう一方で新規需要を獲得するなら、ブルー・オーシャンみたいに違った潜在顧客を取れるようにならなきゃいけないな、とは思ったんですよ。

入山 なるほど。ほんとに『ブルー・オーシャン戦略』は元々読まれて…。

山口 読んでます、読んでます。昨日も久しぶりに本棚から引っ張り出しました。

入山 ブルー・オーシャンで提示されている戦略キャンバスとか描いてました?

山口 はい、描いていましたね。例えば、リアル授業をメインにされている予備校業界においては、高い売上額と大きな固定資産、人件費があるので、ビジネスモデルを大胆に変えることが難しいんです。結果、サービスをプレミアム化していくしかないんですよ。我々は、逆に何も持ってないからこそできること、既存プレイヤーが絶対に真似できないビジネスモデルを作ろうと意識したんです。

入山 発想が完全にブルー・オーシャンですね。

山口 この戦略キャンバスを使うと、既存プレイヤーと自分たちの事業の違いが見えやすいんです。既存プレイヤーには「リアルな授業」や「自習室」はあるけれど、先生の数が多い分、授業の質がバラつくな、とか。価格は高すぎるんじゃないか、とか(下図参照)。

 この戦略キャンバスの要素を出していったときに、自分たちはどこを付け加え、どこを取り除くかを考えたのです。受験サプリの場合、捨てたのは「リアルな授業」です。その代わり、「動画だからこそ、先生の質は最高にして、価格は圧倒的に安くしよう」と。

入山 完全にブルー・オーシャン戦略だ。