入山 英語ができない?

木谷 英語ができるから引き抜かれるんですよ。プロレスはしゃべりがすごく大事なので。

入山 なるほど……でも逆に英語が話せる選手をたくさん育てたほうが、海外進出はすごくやりやすくなる側面もありますよね。

木谷 それはその通りです。でもその代わり、引き抜かれるリスクも高まります。だからうちの所属選手でも、若い選手で英語を勉強しはじめたら、ちょっと注意しなきゃいけないですよね(笑)。

木谷高明(きだに・たかあき)
1960年6月6日、石川県生まれ。武蔵大学を卒業後、山一證券勤務を経て、1994年にブロッコリーを設立。2001年にJASDAQ上場を果たす。2007年、ブシロードを設立。トレーディングカードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」のほか、スマートフォン向けサービスなど幅広く展開。2012年2月、新日本プロレスリングをグループ会社化。 Twitterのアカウントは@kidanit。新日本プロレス公式サイトはこちら
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入山 アジアのマーケットはどうですか。

木谷 もちろん、魅力がありますね。各国の団体と提携して、現地に選手を派遣したり、合同興行をやったり、場合によっては主催試合をやって、現地ファンに「映像配信も見てください」とアピールしていきたいです。配信で上手く各国をつなぎながら課金をして、配信を補う形で、現地で定期的にイベントをやるのが理想だと思っています。

入山 アジアでの興行をもっと頻繁にする気持ちはないのでしょうか。

木谷 費用をどうやって回収するかが課題なんですよ。遠征すると何十人も行くから、採算が合わない。

 もちろん、現地での興行も将来性はすごくあると思いますよ。でも、やっぱり常日頃やるには配信による課金です。

 アニメを始め、かつてはコンテンツを作ると、1ヵ国ずつTV放送のために販売するスタイルが一般的でした。でも、今は日本にいながら、世界中に配信できちゃうじゃないですか。だから昔と違って、動画が一気に広がるんですよね。メディアのグローバル化も進んでいるんです。

入山 新聞、テレビも含めて、かつてのコンテンツビジネスは「垂直統合モデル」が一般的でした。コンテンツを作っているところと、配信するところが一緒だったんですよね。新聞もコンテンツを作って配るし、テレビも電波法で守られて、コンテンツを作って、それをそのまま流して……。けれど、今はネットでだれでも動画が流せるようになった。流通の障壁が無くなってしまって、一層コンテンツ勝負になってきていますね。

木谷 そうですね、メディアの多くは、コンテンツを流しているというインフラ会社の側面が大きいじゃないですか。もっとコンテンツ会社にならなきゃダメなんです。

入山 「世界レベルで売れるものにして、薄く広く課金しないと儲からない」という時代になってきたと。

木谷 そういうことです。それと、アナログに変換して稼ぐっていうことを、もっと意識しなきゃいけないと思うんですよね。たとえば音楽事業は、ヒットした場合にイベントもできるし、ライブもできるし。