『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第5刷となった。
本連載シリーズ記事も、累計216万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者に、担当編集者がインタビュー。
8月11日の川内原発再稼働後、豪雨による鬼怒川決壊、東京で震度5弱、阿蘇山噴火、南米チリ沖マグニチュード8.3地震による津波余波など、日本列島を襲う自然災害が続出している。
はたして『東京が壊滅する日』は、本当にくるのか?
担当編集者が著者を直撃した。

「阿蘇山噴火」は
何を意味するのか?

広瀬 隆
(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。

編集 熊本県の阿蘇山が、9月14日(月)午前9時43分に噴火。噴煙は2000メートルまで達し、火口からはるかに離れた60キロ地点でも、降灰が確認されました。
 私にとって阿蘇山と言えば、新婚旅行のランチで食べた草千里レストハウスの「阿蘇の活火山カレー」を思い出します。
 活火山カレーの説明によれば、「ドーナツ状に盛ったライスは阿蘇の外輪山、カツは阿蘇五岳を表しており、中央部分のくぼみ(カルデラ)から自家製のルゥ(マグマ)が溢れ出す姿は、阿蘇山をイメージした」とありますが、あの「活火山」がついに大規模の噴火を起こしました。
 映像を見るだけでも、すさまじい黒煙が出ていましたが、広瀬さんは、この噴火をどう見ていますか?

広瀬 阿蘇山では、1979年9月の噴火で3人が死亡しました。今回は幸いにも被害者は出なかったといっても、相当大きな噴火であることに間違いありません。
 気象庁のサイトでもわかるとおり、歴史的に阿蘇山は非常に多くの噴火を繰り返してきました。今回の噴火で、噴火警戒レベル2の「火口周辺規制」からレベル3の「入山規制」へ引き上げられ、10月3日現在もレベル3のままです。
 ただ私は、阿蘇山よりも、川内原発がある鹿児島県の霧島や桜島のほうが心配ですし、活火山は1ヵ所の問題ではないという視点が必要です。

編集 どういうことでしょうか?

広瀬『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』の「あとがき」や、ダイヤモンド書籍オンラインの連載にも書きましたが、2009年に始まった桜島の大噴火だけでなく、2011年1月26日の鹿児島・霧島山の新燃岳(しんもえだけ)で大噴火が起こりました。
 その直後の2011年3月11日に東日本大震災が起こったのです。
 震災後の日本列島の火山活動は活発で、2013年11月に小笠原諸島の西之島新島で大噴火がスタートし、今も止まる気配がありません。
 翌2014年9月27日には、長野・岐阜県境の御嶽山(おんたけさん)が大噴火して、戦後最大の火山災害になり、同年11月25日には阿蘇山が噴火して噴煙が1500メートルに達しました。箱根も、蔵王も動いています。
 今回の阿蘇山の噴火は、この一連の流れにあるのは間違いないわけで、九州だけがアブナイと言っているのではありません。日本列島全体が火山の大活動期の渦中にある、と断言できます。

編集 日本列島の火山活動が、完全な「大活動期」に入ったということですね。

広瀬 そうです。しかし、その火山を噴火させる地底の動きは、地球規模の「大地震」と一体になっています。日本列島全域がアブナイのですが、もっとコワイことに、日本だけの問題ではないのです。

 プレートは一つが動くと、玉突きで次々動きだします。
 世界地図を見ると、台湾、中国、インド、イラン、トルコまで、この海底の構造図に示されるように、太平洋プレート、フィリピン海プレート、オーストラリア・プレート、インド・プレート、ユーラシア・プレート、アラビア・プレートなどが順々に隣接していますから、一つのプレートが動くと、すべてがその力を受ける構造になっています。

 日本では、太平洋プレートが動いて東日本大震災を起こしましたが、次に首都圏を動かす関東大震災がくるか、東海大地震~南海大地震が起こるかわかりません。しかし、「次の大地震は近々必ずくる」と言っていいでしょう。