沖縄の米軍普天間基地移設問題の「5月末決着」の話が迷走を続けています。各メディアでは、鳩山首相の“発言のブレ”が話題となっています。この“ブレる”という言葉に対しては、鳩山首相に限らず、現政権は必要以上に敏感になっているように思えてなりません。
それは、普天間基地移設問題のみならず、マニフェストに対しても、何とか辻褄を合せようとする現政権の姿勢からも明らかです。しかし、無理に辻褄を合せようとすればするほど、帳尻が合わなくなり、議論は迷走を続けることになります。
そもそも、「発言がブレる」その理由とは、国民の立場か、沖縄県民の立場か、はたまたアメリカを気にしているのか、連立与党に配慮しているのか・・・など、鳩山首相の「立ち位置」が定まらないことに原因があるように思います。こうした現政権の立ち位置が定まらないことが、政策実行力(完結力)の欠如に繋がっていくことが気がかりです。
「朝令暮改」は、
本当に悪いことなのか?
「うちの社長は、その日の朝、指示したとことが、夕方にはガラッと変わることがよくあります。まさに朝令暮改そのものですね(笑)」
「うちの社長は、朝令暮改どころか、朝令昼改ですよ(笑)」
この2つの会話は、いずれもオーナー系企業の社長側近から伺った言葉です。
発言内容がコロっと変わるという意味では、政治の世界と同じような気もしますが、この方々は「社長の発言がブレる」とは言っていません。「朝令暮改(朝令昼改)」=「発言がブレる」ということでは、どうもなさそうです。
「発言がブレる」とは、発言内容を変えることにあらず、視座や軸が定まらずフラフラしている、ということです。先程紹介した企業は、いずれもいま大変勢いのある企業ですが、こうした社長が朝令暮改や朝令昼改を行なうのは、自分自身の行動指針や思考の指針、すなわち「確固たる視座」や「揺らぎない軸」というものをしっかりと持ったうえで、
○情報の収集、整理を行なう
○常に動いている内外の状況を冷静に分析、把握する
○状況を踏まえて、情報の統合作業を行なう
といったことを常に心掛けている結果なのだと思います。インプットされる情報が追加、変更されれば、情報の統合作業にも影響が及びますから、アウトプットは当然変わることもあり得ます。
また、インプットされる情報は変わらずとも、内外の状況が常に変化していることを考えると、時間軸が異動すれば(たとえ朝から昼という短い時間軸の異動であっても)、アウトプットは変わることもあるでしょう。