マーガリンを摂取し続けると
体に悪いのはなぜ?

夏目 なぜですか?

稲島 答えは製造法にあります。マーガリンの原料は植物性油脂……液体の油です。そして、これを固めたいとしたら何をしますか? 先の説明の通り、水素を足す方法が使われてきました。「水素添加」と言って、おもに160~180℃でニッケル触媒を使い、植物油に水素を化合させる方法でつくられます。

夏目 すると、炭素(C)に水素(H)がくっついて、不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸に近い構造になる、ってわけか!

稲島 はい。しかも、人工的に水素を添加すると、さっき述べた二重結合の角度が、自然界にもともと多い「シス型」ではなく「トランス型」が多く生成されます。 トランス型になると分子がまっすぐに近くなるため固体になりやすいのです。

夏目 それそれ! 最近「トランス型脂肪酸」または「トランス脂肪酸」には害があるって言われていますね。

稲島 これを摂取し続けるすると−−体の中でどうなるかは割愛しますが−−動脈硬化のリスクが進み、心臓病のリスクが高くなります。次の図をご覧ください。

ケンブリッジ大学などによる、32臨床研究(512420人)のメタ解析 Ann Intern Med. 2014;160(6):398-406

夏目 お、いつものパターンですね。

稲島 左側が食べたものから計算した脂肪摂取の種類で、その一番下がトランス型脂肪酸です。右の図では-■-が1.00から上に書かれた線をまたがず右側に離れていますね。

夏目 ということは、トランス型脂肪酸を多くとると冠動脈のリスクが高くなる!

稲島 そのように読めます。だいぶ慣れてきましたね。

稲島 マーガリン以外ではコーヒーフレッシュもトランス型脂肪酸が多く含まれて、こちらは「飲むプラスチック」だと言う人もいます。

夏目 こわい表現ですね。

稲島 プラスチックは石油を固めたものですよね。一部の「あぶら代替物」は植物油から作られているため体に「悪くなさそう」なイメージがありますが、水素添加という意味ではプラスチックに近い作り方をしているとも言えるかもしれません。あとは食感を良くするために使われるショートニングにも多く含まれているようです。こういった風潮を受けて「トランス脂肪酸フリー」なんて商品も出回り始めましたね。