TPPが中国へ与える影響と
もたらされる世界構図の変化

 TPP交渉に関して、一時、中国も強い関心を見せたことがあった。中国経済の貿易依存度は主要国の中ではかなり高く、貿易に関する状況変化に機敏に反応したということだろう。

 しかし、結局、中国はTPP交渉に参加することはなかった。その背景には、知的財産権に関する問題を抱えていたことがある。同国では、世界の有力製品・ブランドの模造品生産が盛んで、実際、TPPに参加しても知的財産権の問題で窮地に追い込まれることは目に見えている。

 また、中国では国有企業が全体の4割を超えており、現状のままでTPPに参加することは事実上難しかった。

 今回、日米中心にTPPがまとまると、中国はTPPという広範囲な経済圏から取り残される。それは、同国経済にとって大きな痛手になることも考えられる。

 そこで中国は13億人の莫大な需要と、高成長を遂げてきた経済の実力を使って、同国からアフリカ、ヨーロッパに至る独自の経済圏=“一帯一路”を作ることを模索せざるを得なかった。

 逆に言えば、日米中心のTPPの狙いの一つに、中国をTPP諸国から引き離すことがあった。12ヵ国が経済的なつながりを強めると、それぞれの国同士の結びつきは自然と重要になる。安全保障の面でも相応の結束ができることは言うまでもない。

 TPP参加国の中で、わが国やベトナムなどは直接、中国と領土問題を抱えている。特に、南シナ海での力ずくの領土拡張は、近隣諸国に不安を抱かせる結果になっている。それに歯止めをかける意味でも、TPP交渉の大筋合意は大きな意味がある。