大混戦となった今年のプロ野球セ・リーグを制したのは、ヤクルトスワローズでした。そんな大活躍のチームを支えたのが、山田哲人選手です。今季は3割・30本・30盗塁という「トリプルスリー」を達成しました。

 そんな山田選手は1992年生まれのゆとり世代。一時期は、世間の問題児のように扱われたゆとり世代からスターが生またのです。山田選手のみならず、日本ハムファイターズの大谷翔平選手など、若くして大活躍するスター候補選手が数多く生まれている状態は、以前より著しいように感じられます。

 ゆとり教育以前は、「詰め込み型教育」などと揶揄されたものですが、世代によって社員の能力や特徴なども大きく違う中で、会社はどのように若手社員を受け入れ、育成すればいいのでしょうか?現在の人材育成の現状も参考にしながら考えてみましょう。

ヤクルトの山田選手をスターにした
杉村打撃コーチのすごい指導法

野球の世界でもビジネスの世界でも、若手社員の可能性を活かせるかどうかは指導する人の力量にかかっています

 山田選手をこれほどのスター選手に育てたのは、杉村繁打撃コーチと言われています。1957年生まれの50代後半。「上意下達」な指導を受けてきた世代です。選手時代は、「いいから、やれ」という上からの命令に逆らえないのが当たり前。ところが、杉村氏は自分の教えられたスタイルではなく、選手との「すり合わせ」を徹底していました。山田選手には、

「ホームランが打ちたいのか、それともヒットが打ちたいのか、どっち?」

 と意見を聞きながら、山田選手の適性を説明して中距離打者として広角に打球をちらし、足を生かすスタイルを目指すことを決め。そのうえで杉村氏の推奨する10種類以上のティーバッティングを徹底的に繰り返しました。その積み重ねができたのは、山田選手が杉村コーチとの日々のすり合わせによって、指導法に納得できていたことが大きかったのではないでしょうか?

 こうした指導の一手間ができるかどうかで、若手選手の「伸びしろ」は大きく変わります。では、最近の会社における人材育成の仕組みは、どうなっているのでしょうか。