早期退職派と安定志向派は表裏一体
「不安定雇用」が生む若者の二極化現象
若者が3年で3割退職すると言われて久しい。厚生労働省の『新規学卒者の離職状況』では、大学卒業3年後の離職率は28.8%(平成21年3月卒業者、以下年数のみ)、31.0%(同22年)、32.4%(同23年)と3年連続で伸び、採用側である企業の頭を痛めている。
辞める理由は人それぞれとはいえ、大きな背景にあるのは不安定な雇用情勢だろう。1990年代後半以降、終身雇用神話が崩壊し始め、一部の大企業や製造業でのみ「生涯一企業」が守られているものの、多くの企業では雇用の流動性が一貫して高まり続けている。
加えて、絶対的な安定感を誇っていた大企業が続々とリストラ・早期退職勧告を行うようになった。ソニーでは2014年8月、本社部門で早期退職者を募集し、同年末までに国内1500人の人員減を見込むと発表した。
早々に離職する者がいる一方で、若者の間では終身雇用を望む傾向も高まっている。2013年版の厚生労働白書にある、若者のキャリア形成に関する調査によると、20代の若者で一企業に勤め続けたいとする人の割合は、1999年には30%台後半だったが、2011年には50%台前半まで上昇した。希望としては1社で勤め上げたいが、行動としては辞めていく若者たち。これはいったい、どういうことだろう。
察するに、「本来は企業で長期的に働きたいけど、何らかの理由で会社とソリが合わず、辞めざるを得ない若者」が増えているということではないか。では、若者は働くという行為についてどう考えているのだろう。
去る12月17日に開催された「起業家やクリエイターの働き方から、これからの『働く』を考えるイベント『Rethink Work』」(主催:WIRED)では、まさにこのような若者の労働観について話されていた。一部を紹介したい。
登壇者の1人でベンチャーキャピタルファンド「ANRI」の創設者、佐俣アンリ氏は、リクルートでモバイル関連事業に携わった後、複数の投資ファンドに参画し、2012年に自身の投資事業を立ち上げた。佐俣氏は学生時代から投資にずっと興味を持っていたという。