「デロリアンを日本の技術で走らせる!」
――42歳で一念発起、独立へ
この日のイベントの正式名称は、「FUKU-FUKU×BTTF GO! デロリアン走行プロジェクト」です。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)』と当社のリサイクルブランド「FUKU-FUKU」のダブルネームを冠し、映画を製作したアメリカのNBCユニバーサル社の公認を取り付けたイベントは、多くの消費者に支えられ、多くのファンに見守られて、大盛況のもとに終えることができました。
この日の喜びを糧にして、これからも、消費者参加型のしくみでリサイクル社会の実現を目指していく。それが、私の次の夢となりました。
こうして30年をかけて映画の技術を実現したわけですが、実を言うと映画を観た当初、「デロリアン」を走らせる夢の技術は、世の中の誰かが実現してくれるものと思っていました。21世紀にもなれば、「ごみ」が「資源」として当たり前のように使われる未来が訪れるものだと思っていたのです。
ところが、映画を観てから10年経ち、20年経っても、そういう技術が実用化されたというニュースは聞こえてきません。
「このままでは、「デロリアン」が見せてくれた夢は、夢のままで終わってしまう……」
そのことに焦りを感じた私は、「2015年10月21日16時29分」までに、ごみからつくった燃料で「デロリアン」を走らせることを目標に、2007年1月に会社を立ち上げました。
この時点で、残りは8年。人生を賭けた勝負が始まったのです。
(続く)
デロリアンを見て、「ごみを燃料にする」技術を夢見た岩元氏。では、なぜ「服からエタノールをつくる」というアイデアを思いつき、その技術を実現することができたのか。次回は、<技術>の秘密に迫ります(10月28日公開予定)。