この通りなら、ドル円は当面120円付近での神経質なボックス圏の動きだろう。来年は、米欧日経済が底堅さを保ち、中国は経過観察、アジアはおおむね小康、資源価格も一部失地回復を模索できるとの基本観から、ドル円の上昇基調もサポートされるとみる。ただし、中国の不透明感とともに新興国の雨はやまず、米利上げには世界経済に対する「勇み足感」が付きまといそうだ。米経済についても、1~3年前の停滞論には十分な材料と確信をもって反論したものだが、複数年続いた後の回復サイクルには息切れの兆候へ相応の留意が必要になってくる。

 それでも新たな相場動意を読む要は米国である。日本銀行の追加緩和によるドル円の再浮揚への期待もあるが、米経済が息切れするようでは上昇相場も続かない。この観点からは今も、米雇用者数の増加が毎月20万人以上か15万人以下かが、誰にでも分かりやすいドル円相場の尺度といえよう。目下、米利上げステップとともにドル円は120円後半を目指すとの中心予想に変更はない。しかし同時に、16年を通じてドル円サイクルの天井感がどう醸成されるか、米経済の動向を要として見極めたい。

(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー 田中泰輔)