反日報道はカネにならない
読者が喜ぶ財閥批判へシフト

D記者 ソウルへ帰任したばかりなのですが、赴任前と比べて韓国人の反日感情が高まったとは思いません。東京駐在時に李明博前大統領が独島へ上陸するなど、日韓関係は冷え込みましたが。唯一変わったのは、日本人観光客が減ったことくらいです。

E記者 そうそう。むしろ変わったのは日本人の方ですよ、嫌韓報道が増えましたから。日本では嫌韓本が売れるらしいですけど、韓国では反日報道はもうカネにならない。韓国の週刊誌だって反日ネタを扱わなくなりました。

──では今、韓国の読者はどのようなテーマに関心があるのですか。

A記者 財閥批判ですね。大韓航空や韓国ロッテグループの御家騒動はメディアをにぎわせました。

D記者 確かに、読者は財閥をたたくと喜ぶね。でも、大企業は主要な広告主でもあるから、そう簡単に批判できない。だから、何かあったら横並びで一斉にたたく。

E記者 私は行けなかったんですけど、8月にロッテの辛東彬(日本名は重光昭夫)会長が羽田空港からソウルの金浦空港に向かうという情報があり、うわさを聞き付けた数人の特派員たちは飛行機に同乗して取材をしたとか。辛会長はノーコメントだったみたいですけど、機内で一言漏らすだけで活字になるくらい国民の関心は高かったですね(笑)。

C記者 そりゃあ国民感情も分からなくもないよ。三権分立をうたっておきながら脱税で捕まっていた財閥会長が大統領特赦という形で牢獄から出てくるんだから。どう考えてもおかしいでしょ。韓国の司法って一体どうなってるのって話だよ。

──ここで、皆さんのプライベートについても聞かせてください。日本での生活はいかがですか

A記者 日本は美しく食べ物もおいしいし不満はありません。と言いたいところなんですけど、特派員は本当に忙しくて疲弊していますね。日本を満喫する余裕などないというのが実情です。

B記者 今日も村上春樹氏がノーベル文学賞を取ったら徹夜決定です(笑)。そろそろ原稿の準備を始めないとまずいです(取材はノーベル文学賞発表当日の10月8日夕方に実施)。

C記者 皆つらいから特派員同士で傷を舐め合います。皆で飲みに行く機会は多いですよ。歓迎会や送別会も開催するので、月に1、2回は集まりますね。東急田園都市線沿いに住むメンバーが多いから、三軒茶屋や用賀の居酒屋によく出没します。悩みが尽きないのです……。