8月、10月に再稼働を始めた川内原子力発電所

 九州電力の川内原発の1号機が8月に、そして今月に入って2号機が再稼働を始めました。次は四国電力の伊方原発3号機の再稼働が有力視されているものの、東日本大震災から4年半経ってまだ原発が2基しか再稼働できていないことに対して、原発再稼働が日本経済の再生に不可欠と考える外国人投資家の多くが「なんでこんなに再稼働のペースが遅いんだ」と呆れています。

 それでは、なぜ原発の再稼動が遅々として進まないのでしょうか。よく言われるのは、原子力規制委員会(以下「規制委」と略す)とその事務局である原子力規制庁の人手が足りないということです。確かにそれも事実でしょうが、それ以外にも深刻な問題があるように思えます。それは、活断層の判定を巡る混乱です。

敦賀原発で明確になった活断層を巡る混乱

 規制委の規則では、“活断層の上に原子炉など原発の重要な構造物があってはならない”となっています。即ち、既存の原発の下に活断層があったらその原発の再稼働は認められず、電力会社は原発の廃炉を迫られることになります。

 そして、まさにこの活断層問題が原因で、この夏に敦賀原発2号機の再稼働を巡る規制委と日本原子力発電(以下「日本原電」と略す)の対立が鮮明となりました。その構図は概要以下のようになっています。

 規制委は、再稼働を目指す既存の原発の下に活断層がないかどうかの判定のために、少数の専門家(地質学者)を集めて有識者会合を組織しました。そして、規制委は事実上、有識者会合の評価を追認していましが、この有識者会合は規制委と異なり法的根拠もなく作られた組織です。原発1基の建設に2000億円以上のコストがかかっていることを考えると、法的根拠のない組織が原発の下の活断層の有無(=原発の廃炉)を決めるというのはあまりに乱暴です。

 かつ、有識者会合と事業者の見解が対立して、その議論に長い時間が割かれたため、結果的に原発再稼働の審査作業全体が大幅に遅れる要因となってきました。